「編集」の仕事ってなんだろう。

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「編集」に向いてる人と、「ライター」に向いてる人

こないだ尊敬するフリーの編集者の方と話していて、「ライター」に向いてる人と、「編集」に向いてる人はふたてに別れる、という話になった。その方曰く、「自分はやっぱり『編集者』で、もちろんそれなりに文章も書けるけれどもでも、信頼してるライターさんの書く文章には、私には書けない何かが絶対にあるの。一方で、そのライターさんは編集には全然向かない。それは私の方が向いているとおもう。」と。

ムシちゃんはどっちが向いてるとおもう?と、聞かれてどっちも好きだからわからぬ。と、答えたわけですが。(わからぬのか。)でも今はまだほんとにどちらも好きだな、というのが正直な気持ち。これから色々変わってくるのかもしれないけれど。

「書く」仕事、つまり、ライティングのお仕事というのは、比較的イメージがつきやすい。「ライター」という肩書きも一般的で、有名なライターさんも、個人的に好きなライターさんも、何人も思い浮かぶ。

でも、「編集者」というと、とたんにイメージがつきづらくなる。この編集者さんが編集したものが大好き!と、いう記事などはあまりなかなか思い浮かばない。つまり「縁の下の力持ち」なのだろうと思うのだけれど。

会社を辞めるにあたり、「何をするの?」と、聞かれて、「なんかいろいろ。書いたり編集したり!」と、またざっくりなことを答えていると、「編集って何するの?」と、よく聞かれた。ほんとだよ何するんだよ、と、自分でも思っていた。(思っていたのか。)

ただ、前職でウェブサイトを運営することになって、ライターさんと取材に行き、上がってきた原稿を見て、見出しをつけかえたりわかりやすく整えたり、という作業がとにかく楽しかった。地味ではあるのだけれど、少し言い回しを変えただけで、文章が生きてくる感じがする、その瞬間がすごく好きだ。向いてるのかどうなのかはわからない、でも自分はこういう文章に向き合う仕事をやっぱりずっとしていきたいなと思った。

そして、「編集」の仕事が必要とされる場面って、結構あるんじゃないか、と、なんとなく思った。それは従来の「編集」とはもしかしたら違うのかもしれないのだけれど、たとえばいわゆる「記事」だけじゃなくても、必要になる場所って結構あるんじゃないかなと思う。こういう仕事!と、はっきり言えない仕事こそ、可能性がたくさん広がる仕事のような、気もする。気もするだけだけれど。

でも、誰かの文章や、誰かの言葉を「編集」するとき、それはともすればもちろん、悪い意味での「編集」にだってなりうる。「歪曲」になることがある。もちろんそれはものすごく気を遣っていたところで、難しいところでもあるわけだけれど。

そんな中で、フリーになって初めての、「編集」のお仕事をしながらめちゃくちゃ思うところがあったのでメモしておきます。

フリーになって初めての編集のお仕事

リクルートマーケティングパートナーズさんの「Manabi Mirai Meeting」という講演会があって、それをウェブサイトに収載する、というお仕事をしました。

面白いなあと思ったのが、当日の講演を基本的にすべて動画でも公開するので、文章でも全文を掲載したい、と依頼されたこと。

よくある採録というのはもちろん、(もともと新聞社の仕事をしていて紙面に限りがあったからかもしれないけれど)重要なところとかキャッチーな部分を切り出して、短くまとめるというのがまあほとんどだと思います。だから、ここ使いたいけど紙面の関係上やっぱり削らなきゃな、とか、色々と優先順位をつけなきゃいけなかったわけです。

だけど、今回はそうじゃなくて、全文載せることが大前提としてある。

動画も文章も両方見る人はそんなにいないかなという仮説はあるけれど、それでも同じサイトに載る以上、あまり大幅に編集されていると混乱させてしまう。

とはいえ、文字起こしされた原稿をそのまま読むと、なんというか、直接映像で見るよりもちょっと嫌味な感じがしてしまったりとか、文字になるとその人の持つ雰囲気とえらく違う感じになっているなと思う部分が多かったり、もちろん話し言葉すぎてわかりづらかったり、というのがかなりたくさんあった。

なので、元の書き起こされたものからあまりにも大幅に変えることはせず、でも読む人がそれなりにストレスなく読めて、そして話し手の持つ空気感をあまり損なわないように、ということを意識して、編集をしてみました。(わかりづらい部分は多々あるかもしれないし文章の合う合わないはあるかもしれないけれども心がけとして。)

今まで編集って、削ってなんぼ、と思っている部分があったけれど、こうしてウェブになると制限がなくなるわけで、そうすると全文えいやって載せるのはもしかしたらこれから増えてくるのかもなあと思ったりした。

編集をしながら、ここは伝えたいなあ、ここに気づきがあるといいなあ、ということはすごく思うのだけれど、でも実際「ここが大事だ」とか「あーなるほどそういうことか。」と感じるのは、それは読み手の人やもんね。どう受け取るのかは、読む人が決める。だから、大事な部分だって読む人がピックアップする。

短い文章での表現が増える中での「読みたい欲」

そして改めて読み返してみて、なんせ45分くらいある講演をほぼ全文載せているのでものすごい量なのだけれど、でも読んでみると意外とあっという間に読めちゃえるもんだな、というのも結構新鮮な気づきでした。いやもちろん、講演自体がもんのすごく面白かったからなのだけれど。

twitterもインスタも短い文章やキャプションで表現する時代ではありますが、私は個人的に最近すごく「読みたい欲」のようなものがあって、ウェブでも、なんだか長い文章をがっつり読みたいなあとかなり思う。ウェブで長い文章を読むのにも慣れてきたからかもしれないけれども。(ビジネス書とかならきっとタブレットで読めるな。いやビジネス書読まへんけど。そのうち小説もタブレット読むようになる気がしている)

そしてこれ私だけじゃなくて、ウェブで長い文章を読むことに、意外とみんなあまりストレスを感じなくなってきているんじゃないか、とか思ったりしています。(ないですかね「読みたい欲」・・・)

そんな中で、その長い文章を、「ストレスなく」読める工夫をするのも、それも編集の仕事なのかもしれない、と思う今日この頃です。文章を整える、見出しをつける、段落を考えるといったことだけでなく、それはもしかするといわゆるUIとかUXとかも含まれてくるのかもしれない。(なんでも自分でやる、という時代ではないなと思っているので、できるチームを作っておく、とかも必要なのかもしれない。)まだまだできることがたくさんあるのかもしれない、と思います。

そんなわけで以下リンクは、長いけれど面白くて結構あっという間に読めてしまう記事かと思いますのでぜひ!藤原先生のお話はほんとに明快でおもしろい。(全然むずかしくないです。)特に数年後に中学受験、高校受験を控える子どもを持つお母さんたちに読んでもらえると嬉しいです。

Manabi Mirai Meeting 2017 【基調講演】藤原 和博 氏 現在の高校生は、どんな未来を生きるのか? ~今後の未来の社会、生き方、働き方、そしてそれに向けた学び方 特別レポート

 

 

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