東京で通い続ける場所があるということ

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なんと3ヶ月しかあいてないのに美容院へ行った。

髪を切りに美容院へ行った。ロングの時期が長かったのだけれど、1年前だったかもうちょっと前だったかにバッサリ切って以来、ちょっとでも伸びるとすぐに気になって美容院へいくようになった。

なんといっても、ロングの時は半年に1回しか美容院に行っていなかった。いつも気づけば半年が過ぎていた。

しかし。髪を切ってから私は生まれ変わった。なんと3か月に1回美容院へいくようになった。すごい。これはすごい。奇跡だ。

髪を切りながら、そうかこのお店に私はもう上京以来ずっと通っているのだなあ・・と、しみじみ思った。それってもしかしてちょっとすごいことなのでは。と。

この美容院に通い始めてからの自分の変化

上京以来、私に何が起こったかというと、大学に入学し、卒業し、就職し、結婚し、出産を2回し、会社を辞めた。それを、この美容院は全部知っているのだ。ちょっとすごい。まあ、年に2回しか行ってなかったけど。(それなのにそれを全部覚えてくれている美容師さんほんとすごい。)

東京に出てきてから、今年で何年目だろう、16年めになるのかな、そろそろ、京都より東京の生活が長くなりそうだ。その人生の約半分をかけて、通い続けている場所っていうのは、実はそんなに、多くない。

同じ東京でも住んでいる場所は学生の頃から数えて4回変わり、もちろん生活圏内も変わった。学生の時と、社会人になってからだと、飲む場所もお店も変わった。(まあやっていることはあんまり変わってない気もするけど。。。)

右も左もわからぬまま憧れのダイカンヤマへ行ってそのわかりづらすぎる道で迷った上京2日目の私と今の自分では、さすがに行くお洋服屋さんだって変わってきた。その頃から変わらず行っているブランドとかお店って、さすがにない気がする。それはちょっとさみしいけれど、まあでも年齢によって好きなブランドが変化していくのはある意味自然なことだ。

そう思うと、ほんとに、美容院くらいなのだ。ずっと通い続けている場所って。

初めてその美容院へ行った頃は、専門学校を出たばかりのアシスタントさんたちがみんな自分と同い歳くらいだった。そのアシスタントさんたちが、自分より歳下なのか!と、気づいたのは、就職してから結構経ってからだった。

遅い。高校球児たちが自分より歳下だと気付くのにも相当時間がかかった。遅い。まあこんな風に私は自分が歳を重ねていることをつい忘れるわけだけれど、通い続けていると、さすがにそのことも痛感する。だいたい周りの人が同い年とか歳下になっていく。

美容院というのは、話すのが苦手でもライフスタイルの変化の話をしがち

そもそも私はあんまり美容院やネイルサロンでお店の人と話すのがそんなに好きじゃなくて(めんどくさい)、基本的にはほっておいてほしい(なんといっても生きていく力に欠ける)。

そもそも美容院(もしくはGINZA SIXの蔦屋書店。それは今。)くらいでしか雑誌を読まないから、まあ美容院ではおしゃべりより雑誌を読みたい。読みかけの本があればそれも美容院に持ち込むし、それを読みたい。

そんな感じなので、美容師さんとたくさんおしゃべりしてる方ではないのだけれど、そんな自分でも、美容院というところは、ぽつりぽつりとライフスタイルの変化を話しがちな場所なのだ。

「シューカツするからちょっと髪色落ち着かせたい」と言えば「どんな業界受けてるの?」という話になり、職種の話もした。「実は結婚するから式に向けてちょっと伸ばしたい」といえば「そっかじゃあ顧客カードの名前書き換えるね!」と、新しい名字をおしらせした。

「実は妊娠中で出産したらしばらく来れないから、伸びても大丈夫な髪型にしてほしい」といえば「それは楽しみだね!女の子?男の子?」という話になった。

「上のお子さん何歳だっけ?もうそろそろ小学生だよね!」という話もついこの前にした。そして、「会社を辞めたから平日のこんな時間にも来られるようになったよ」という話をして、「おめでとう!そっか新しい仕事どう?」と、新しい仕事の話をした。

何と言っても、だいたい年2回、多くても4回ほどしか行かないわけだけれど、それでもコンスタントにずっと、この美容院は自分の変化とともにあったのだなあと、改めて思った。

目に見える資格やスキルだけじゃない、力を自覚すること

美容師さんというのはやっぱりものすごく会話のうまい人たちで、いつも何かしらの気づきをくれる。(いやまじであの人たちプロですよねすごい。終わった後全部メモしてるのかなあ、全部覚えててくれてほんとすごいと思う。)そしてその会話の内容は、やっぱり18歳から今までで大きくかわってきた。

前に、「美容師さんは手に職があっていいですよね、どこでも仕事していけるから。」という話をした時に(たぶん、私はその頃会社を辞めようかと漠然と考えていたのだと思う。)「いやでも美容師にとって一番の強みって、資格じゃないと思うんです。」と、その時たまたま担当してくれてた美容師さんが教えてくれた。

「こうやってお客さんとお話するコミュニケーションのスキルとか、あと次世代を育てていく力とかマネジメント力とか、そういう方がどこでも通用する力になるなと思っていて」と、その美容師さんは言っていて、なるほど!と、思った。

もちろん人それぞれに考えはあって、自分はハサミ一つでやっていくんだ!と、いう人もいるだろうしそれはそれでいいと思うのだけれど、自分の仕事からこう広がるスキルを自覚するってすごく大切だな、と思う。

目に見える(履歴書に書けるような)資格だけではなくて、そして美容師であれば「髪を切る」という分かりやすいスキルだけではなくて、長く続けてきた仕事にはきっと、誰から見てもわかるようなもの以上の、力がついているものだ。それをちゃんと自覚できるってすごく大切なこと。自分の力をいろんなことに応用していける、そういう柔軟性があるって良いな、と思う。

その時々で、美容師さんに教えられること

そしてこういう話にハッとしたり、何かに気づけるようになったのは、それはきっと私が16年くらいの間に、いろいろ変化してきたからなんだろうなあ。

18歳でダイカンヤマで迷いまくりのときにはいいお店をたくさん教えてもらって、結婚する時はステキなお花やさんを教えてもらって、出産してから子連れでいけるお店を教えてもらって、そして最近はやっぱり仕事の話が多くなる。その仕事ぶりから学ぶこともたくさんある。

家族と離れて東京で一人暮らしを始めて、そしてまた結婚して新しい家族を持つ今まで、たぶんこの16年の間に自分の人生は大きくかわったわけだけれど、その間ずっと変わらず通い続けてこられた同じお店があるっていいもんだなと、改めて思う。

次回は半年開かないように行こうと思います、たぶん、きっと。生まれ変わったし、うん。

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