今日も走りながら考える

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今日はギラギラ系じゃなくて微笑み系

ここのところ、タイムを速くしよう!という比較的ギラギラ系で走っていたのだけれど(なにそれ)まあ当然のことながらギラギラ系は全然自分に合わないので、今日の目標は景色を楽しみながらゆっくり走ること。いやいつものランニングコースなのだけれど。

キロ6分のペースを維持するようにして、あまりにペースが遅くなるようならそこはちょっと頑張って意識して上げるようにして、だいたい同じペースを維持。(ペースを途中で落とすと逆にしんどくなってしまう、私の場合)

特に前半の速くなりがちなところでは、意識的にペースと落として、とにかく同じペースを維持。という感じで、なんだかんだで16キロを走った。タイムはちょうどキロ6分の1時間36分4秒(目標より4秒遅かったけど)。

「景色を意識しよう」としたら、いつものコースなのに、川の水面に映る光のきらきらがやけに美しく見えたり、遠くに東京タワーが見えることに気づいたり、何なら自分のマンションすら綺麗に見えた。何だ、なんか変なホルモンが出てるのだろうか。

走り始めた頃は、何がどう転んでも、どれだけタイムが遅くても、しんどいものはしんどかった。何が何でもしんどかった。よくランニングのサイトや本を見ていると、「話しながら走れるペースで」とか書いてあるのだけれど、そんなもんどんなペースでも無理じゃわいあほなのかかく!と、思っていた。走りながら話すとかまじでむりむりむり、と、思っていた。

けど今日自分の目安として、走りながら話すは無理だけれど微笑むことはできるペースにしよう、と思い、たまに微笑みながら走った。もちろん一人である。隣には誰もいない。ホラーである。

ホラーだけれど、これで16キロを走りきれた。12キロ超えたあたりからさすがに結構しんどかったけれど、16キロ時点でも「まだ走れるな」という余力が、ほんの少し、残っていた。(もちろん微笑んだ。)

物事が続くのは、達成感だけじゃないのかも

やっぱりなにごとも、しんどいだけでは続かなくて、そしてきっと、「達成感」だけでも続かなくて、こういう、走りながら見える景色がやけにきれいに見えることとか、なんか自分、生きてるだけで儲けもんじゃない?と達観(というか楽観)できることとか、なんかそういう瞬間があるから、けっこうしんどいことも続けていけるのかもしれない。

たぶん仕事も同じで、私はいつも「どうせやるなら楽しく」という心持ちでやってきたけれど、そんなこと言ってもしんどいことも山ほどあるわけで、こつこつ地味な作業を積み重ねていかなくちゃいけないこととか、ハードな交渉に巻き込まれるとか(私は逃げるけど。)、確定申告とか、そういうそもそも楽しくないことだってもちろんある。

けどそういうしんどいことを抱えながらも続けていけるのは、仕事の「達成感」だけじゃなくて、隣にいる人が意外といいやつだなと気付いた瞬間とか、同僚としょーもない話で爆笑した時間とか、通勤中に出会うサラリーマンがかっこいいとか、なんかそういうささやかなことが、活力になっているのかもしれない。

そういう、日々の、普通の毎日の、ささやかな喜びというのは、実はすごく大事なのかもしれないなあ。その積み重ねが、もしかしたら人の幸せを作っているのかもしれないなあ。と、なんかそんなことを思った。走りながら一人で微笑みながら。

相当ホラーである。

「不健全な魂もまた、健全な肉体を必要としている」

毎日走っていたら、気温が少しずつ下がっていくことも(でもまだ半袖で走れる)、木々が色づき始めることにも、日々の細やかな変化に気づくことができる。通勤で歩くだけじゃ、会社に急いで向かう時間だけじゃ、なかなか気づけなかった季節の変化だなあと思う。だから私は、一人で微笑む。ホラーである。

村上春樹は、名著『走ることについて語るときに僕の語ること』に、こう書いている。

真に不健康なものを扱うためには、人はできるだけ健康でなくてはならない。それが僕のテーゼである。つまり不健全な魂もまた、健全な肉体を必要としているわけだ。

これ名言だわ、と、思う。

健全な魂が健全な肉体に宿ることは感覚的によくわかるけれども、不健全な魂に向き合う時にも、健全な肉体は必要になる。

悪しきものは、自分が思うよりもずっと簡単に、自分の身体や魂を蝕んでしまう。だから私はできる限りそういうものからは物理的距離を置くようにしているわけですが(めんどくさいことからもすぐに距離を置く)、必要な「悪しきもの」というのは何かを作り出す時には必要になってくるわけで、いつかそれにも向き合えるような健全さを身につけられるといいなと思う。

それは、強さというより、健全さだ。

↓ものすごく面白いです。何度も読み返してボロボロになっている。カバーもどっかいった。走らないときに読んでも面白かったけど、走るようになってから読んだらさらに面白い。

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