店舗を持たないウェブ上でのヴィンテージショップ「Swell Vintage」(以下SV)を営むMegさん。そのインスタからは、Megさんご本人のぶれないセンスも伝わってきます。このMegさんのセンスの秘密は何なのか。それが知りたくて、今回取材をお願いしました。
実際に会ってみたMegさんは、とても気さくで話しやすくて、そしてやっぱり一つのしっかりとした芯があって。そのセンスはもちろん、お人柄含めてますます好きになってしまいました。すごく良いお話がたくさん聞けたので、ぜひ読んでみてください。じっくり全6話でお届けします。
前回は、お仕事をする上でのご家族の支えのお話を伺いました。最終回は、Megさんが影響を受けたお母さんの話、そしてMegさんにとってお仕事とは、というお話です。
目次(全6回)
洋服が好きなのは、おしゃれなお母さんの影響も
まい: Megさんが、ご自身が影響を受けたものとか、人とかってありますか?
Megさん: 私、誰かに憧れを抱くってことがほとんどなくて。誰かを目指してるものとかもなくて。でも、多分服が好きなのって、やっぱり親の影響なのかなって。
ちっちゃい時に、キャラクターのキラキラしたピンクの靴がすごい欲しかったんだけど、母が絶対買ってくれなかったんです。
今でも忘れないんだけど、イトーヨーカドーの靴売り場で座り込んで泣いてる時に、うちの母が「絶対イヤだからこんなの買うの!」って言ってて、父が「買ってやれよ、もうすぐおっきくなって履けなくなっちゃうんだから、いいじゃん」って言ってて。でも母は「絶対イヤなの!」って。すごく覚えてるの(笑)
まい: (笑)
Megさん: うちの母はすっごいこだわりのある人で、ピンクとか着たいのに、絶対着せてくれなくて。茶色とかそんな色ばかりで。
でも、今になって、写真を見てると、ほんと可愛く着せてもらってるんです。やっぱり、そういうのが身近にあって、それで今があるのかな、っていう感じはする。
家に母が読むファッション雑誌も普通にあって。「なんかすごいかわいい服着てるな、お母さん、いいな」って、子供ながらに思ってたんです。その影響がやっぱり大きいのかな。
まい: おしゃれな方なんだ。今でもそうなんですか?
Megさん: 今でも服にはすごいこだわってて、古着も結構着たりとかしてて。あと私が週末にイベントが入ってる時は、母が家の手伝いに来てくれることもよくあるんだけど、着ていくものとかは母にも相談してます。色合いが暗いからこっちがいいんじゃないとか言ってくれて。そういうのもしょっちゅうやってるから、母の影響は大きいかな。
雑誌はあえて見ない。古い昔のスナップからインスピレーションを受ける
Megさん: あとは、芸能人とかじゃない、無名に近い方の、結構昔のスナップとかは、すごくよく見ます。
ネットの、そういうのをストックしてるサイトがあって、ピンタレストとか。そこに画像がどんどん出てくるから、それを見てて、今度こういうの組み合わせようかなーとかこれかわいいなーとか、考えてる。
まい: そこから、なんかこう、ご自身のお洋服のインスピレーションとか買い付けのイメージが湧いてきたり?
Megさん: うん。私、雑誌とか流行速報とか一切見ないんです。それに感化されたくなくて。
まい: もう、すごいわかる。
Megさん: その時その時で自分が気になってるものとかを手にしたいから、今年の流行色はとかは見ないようにしてて。
まい: それはあえて見ないように?
Megさん: そうそう。
まい: 流行に関係なく、やっぱり70年代が好き?
Megさん: うん、70年代が好き。でも今の歳でそれやるときつくて(笑)こないだのイベントの時もファーの帽子かぶってたら、うちの旦那が、「ここでやるのはいいけど、どっか違うとこ行ったら、ほんとイタいよ」って言ってて(笑)でも好きだからしょうがないんですよね。
まい: いやいや!(笑)すごくお似合いでしたよ!
好きなものを、着たいから着る。
まい: 小学校に行く用事がある時とかは?
Megさん: うん、もう、普通でいく。
まい: (笑)
Megさん: 極力普通にしてこうと思って。超地味ー!っていうので、ちょうどいいから。
まい: 超地味(笑)
Megさん: もうそれで行こうと思って、それで行ってる(笑)
まい: ほんと難しい、小学校!(笑)でも、なんだろう、今までも、人の目とかはそんなに気にしない方なんですか?
Megさん: うん、しない。好き放題やってきた人だから。
まい: 今までもそんな感じ?人に言われても、自分の好きなものを着る。
Megさん: うん、好きなものを着たいから着る、という感じです。子供が出来てからかな、気にするようになったのは。さすがに、お前んちのお母さんちょっと変だよね、みたいな話になるとね、かわいそうだから。そこはちょっと気にするけど、それまでは全然気にしてこなかった。本当に好きなのを着てました。
「人と同じ」はしたくない
まい: それは、お洋服以外でも、好きなことを貫く、というのはずっと?
Megさん: うん、そうだし、私多分天邪鬼で、人と同じことをしたくないっていうのがずっとあって。人が白を着るなら私は黒を着るみたいな感じで、なんか世間の波からいつも逆らってた。あと若い時は、流行の波に一番先に乗れることをめざしてた!後乗りがイヤで(笑)
まい: はいはい(笑)
Megさん: 「なんか変じゃない、めぐちゃんが着てるのー!」って言われて、「これから流行るよー」と言って。その何ヶ月後かに、「ほらみんな着てる!」って言う、そんな人だった(笑)
まい: その感じわかる(笑)その上で、今は、流行はあえて見ないようにして、自分のセンスで選ぶ、という。
Megさん:うんうん、そう、そう。今までの集大成というか、そういう中で残ったものを、気分で選んで着てるんだと思う。
まい: うんうん。なんか見えてきた感じがします。
仕事は、すべての活力源
まい: 最後に、Megさんにとって、お仕事ってなんですか?
Megさん:すごいありきたりだけど、活力源とか、そんな感じです、一言で言ってしまうと。それがあって、すべてがこう、順調に走れるっていうか。そんな感じかな。
まい: うんうん。本当に好きなことですもんね。好きなことを仕事にしてる。そっか。子育てしながら仕事をしていこうというのはずっと思っていたこと?
Megさん: 結婚する前は、仕事が辛かったから、結婚して子供産んだら、仕事は辞めようって思ってたんですけど、いざそうなった時に、恐怖感というか、すごい離れ小島に残っちゃって、どうしよう、という感じがあって。だから私の場合は、なんか仕事やらなきゃな、っていう感じがあったかな。
まい: でもそれがね、ちゃんと形になって、続けてこられたっていうのがすごい。私がなんだかすごい勇気づけられました。ありがとうございます。
編集後記
すごい、ほんとに素敵な人だ、と、帰り道ワクワクしていた。
多分、物心ついた時からずっと、私は洋服が好きだった。でも、ずっと、なんというかファッション雑誌のキラキラした世界観が苦手で、洋服が好きな自分って一体なんだんだろう、ファッションってなんなんだろう、これは少し、浅はかな世界だったりするのかな、と、どこかでずっと思っていた。
でも今回Megさんにお会いして、たくさんお話して、心の底から、やっぱりファッションって最高だ、大好きだ、と思った。きっと、Megさんが、ほんとうの、本物の、ファッション好きの人だからだと思う。ものすごく純粋な、そして凛とした、Megさんの芯に触れて、洋服やファシッションの力みたいなものを、すごく感じた。ずっと、洋服を好きでいてよかったと、心底思った。
好きなものを、着る。
それは、簡単なようでいて、難しい。
でも、窮屈だった世界が今、少しずつ開かれていくのを感じるように、洋服も、肩肘張らず、もっともっと好きなものを纏えるようになっていきたい。
それはきっと、自分の世界を豊かにしてくれる。そして、好きなものを纏うことは、心を伸びやかにしてくれる。ファッションってきっと、そういうものだ。
まい
Profile
Meg: 独自のセンスで、2013年に「Swell Vintage」をスタート。ショップで販売するものは全て、自らハワイやLAから買い付ける。インスタグラムの世界観も人気で、フォロワー数は2017年12月現在で1.9万人。