店舗を持たないウェブ上でのヴィンテージショップ「Swell Vintage」(以下SV)を営むMegさん。そのインスタからは、Megさんご本人のぶれないセンスも伝わってきます。このMegさんのセンスの秘密は何なのか。それが知りたくて、今回取材をお願いしました。
実際に会ってみたMegさんは、とても気さくで話しやすくて、そしてやっぱり一つのしっかりとした芯があって。そのセンスはもちろん、お人柄含めてますます好きになってしまいました。すごく良いお話がたくさん聞けたので、ぜひ読んでみてください。じっくり全6話でお届けします。
目次(全6回)
保育園が見つからず、会社を退社。それでも何か仕事がしたい!
まい: まず、SVを始めたきっかけを教えてください。やっぱりもともとアパレル関係のお仕事をされてたんですか?
Megさん: 元々は、企業のレセプション、受付の仕事をしていました。広告代理店とか、IT企業とか、自動車会社とかいろんな大手を転々と。最終的には、管理の方で、採用とか、教育の仕事をしていて、だからファッション業界にいたことはなくて。
まい: ファッション業界じゃなかったんですね!それはどれくらいの間やっていたんですか?
Megさん: 15年くらいかな?そのあと、出産をして、育休を取ったんだけど、実は、その時の上司にも勧められて、最終的にはマナーの先生になろうと思っていたんです。採用とか教育の仕事の延長で。
でもファッションの仕事はどこかでずっとしたくて、モヤモヤした気持ちが、なんかずっとあって…。でもそれはたぶん無理だろうな、こっち(マナーの先生)でやっていくんだろうなって、思ってて。
だけど、その頃住んでいた地域が、待機児童のすごく多いところで、結局保育所が見つからず、会社を辞めなきゃいけなくなっちゃったんです。
まい: ああそうだ、その頃って待機児童問題がちょうど大きくなっていった頃ですよね。
Megさん:会社を辞めました、でも私これからどうすんだろう、ってすごい考えて。それでその時、ファッションの仕事がやっぱりやりたいなって思ったんです。
私ずっと、育児をベースに、ファッションも載せつつ…といった形のブログをやっていたんだけど、それを見てくれてた、同い年の子供がいるママが、ある日突然メッセージをくれて。
私が家族旅行でハワイに行くってブログに書いたら、「うちもちょうど同じ時期にハワイに行くんです。子供大変ですよね、やっぱりまだよちよち歩きで。だから一緒に遊ばせませんかー」って言ってくれたんです。
それがきっかけで、その子と仲良くなって、二人でよく、「子供がいて、育児に追われて、それでこのまま人生終わってくのかなー」とか話してて(笑)
まい:(笑)
Megさん: その子が、そのあと一緒にSVを立ち上げるリカなんです。
SVのスタート ーパートナー、リカさんとの出会い
まい: 最初はお二人でやっていたんですよね。
Megさん: そうなんです。彼女はなんていうんだろう、すごくアクティブで、すぐに行動に移すタイプで。私は色々考えちゃって、慎重になっちゃうタイプだから、そもそもやろう!って決心できたのも、彼女の影響がすごく大きいと思う。彼女がいなかったら、SVは始めていなかったと思います。
まい: そうか、すごくいいパートナーだったんだ。
Megさん: ちょうどその頃、クラッチが流行ってて。でも、よく見るのは合皮の、いまいちなイラストとかロゴが入ってるやつで(笑)けどこれ、本革がいいよねーって話をしてて、それ、作っちゃおっか!って話になったの。それがSVのそもそもの始まりなんです。
でも二人ともそんなものづくりをしたことがなかったから、「作るって言っても作れるの?」「どうやって縫うの?」「とりあえずミシン買いに行こっか!」って。
まい: そこから(笑)
Megさん: うん、本当にそこから手探りで。ファッション業界のこともわからないし、何からしたらいいのかもわからないような状態で。「なるべく分厚い生地が縫えるミシンないですかー!」って探すところから。
そこから、まずは何かベースになるものを作ろうっていう話になって。ちょうどその頃、私の息子が着ていたワッペンがたくさんついたシャツがあったんだけど、それがすごくお気に入りで、「そういうクラッチがあったら絶対かわいい!」っていう話になったの。「それ作ろうよ!」って。
でも、本革で作ろうって決めたのはいいものの、クラッチにできるような柔らかい革って、なかなか見つからないの。でも、リカが色々と問屋さんを探し回ってくれて。最初に作ったクラッチの革も、リカが見つけてくれた。彼女はそういう行動力がすごくあって。
それがあったから、私はワッペンの配置に集中することができたの。だから本当に、彼女には感謝してて。
まい: そうか、ほんとに、それぞれの特技をちゃんと生かして。
Megさん: うん。リカは、「私にはそのワッペンの配置は考えられない、そこはめぐちゃんのセンスだから」って言ってくれて。
私はなんだかんだ、ほんとに人に恵まれてるんだと思う。なんていうんだろう、私のセンスを信じて、支えてくれる人がいたから、ここまでやってこられたんだと思う。
まい: うんうん。最初の始まりから、まさにそうですもんね。
真夜中に二人で泣きながら、クラッチバッグのサンプルを作成
Megさん: リカが探し回ってくれておかげで、なんとか材料を一通り揃えることができて。最初の頃は、ワッペンを付けるのは手縫いでやってたの。でも、曲がるし、針は折れるし、いびつになるし、個体差は出るし…。「なんでこんな辛い思いしなきゃいけないのー」って、もう夜中に二人で泣きそうになりながらやってた。
まい: 手縫いで!それはすごい。想像するだけで泣ける…。
Megさん: もう本当に、泣いてた(笑)でもやっぱり役割分担ができていって、クラッチの革を探して、革を切る、それをミシンで縫う、までがリカの仕事で。
ワッペンを探す、ワッペンをはがす、クラッチに配置する、手で縫い付ける、までが私の仕事。
そうやって二人で、革もジッパーもワッペンも、全部すごくこだわって最初のサンプルを作ったの。手縫いと家庭用ミシンでは、市販のものみたいにまっすぐ整ったものには仕上がらないんだけど、でも本当に細かいところまで二人でこだわったから、そこには自信があって。
二人で試行錯誤して、なんとか作り上げた、世界に一つのクラッチだったの。
まい: うんうん。すごい、本当にこだわりが詰まってる。いよいよそれを売り始めたんですね。最初からインスタで?
Megさん: うん、二人ともその頃はインスタもよくわかってなかったんだけど、ちょうど広がり始めた頃で。サンプルを載せてみたら、結構反響があったんです。販売の告知も始めたら、素敵ですっていうコメントとかもつき始めて。
ちょうどその頃、まだ出来たてのBASE(ウェブ上でオンラインショップが開けるプラットフォーム)っていうのがあって。一から販売ページを作るとすごくお金がかかるけど、これなら無料だし、base自体もできたでで、自分たちと一緒に成長していくみたいな感じでいいね、やってみようかって、そんな感じで始めて。
そこから少しずつ、そのクラッチが売れるようになっていった感じです。
本当に手探りの中、友人と二人でSVをスタートしたMegさん。次回は、そんなSVの転機になった出来事について伺います。
Profile
Meg: 独自のセンスで、2013年に「Swell Vintage」をスタート。ショップで販売するものは全て、自らハワイやLAから買い付ける。インスタグラムの世界観も人気で、フォロワー数は2017年12月現在で1.9万人。
*感想、お問い合わせ、また、インスタグラムで気になるこの人のお話が聞いてみたい!というご要望、お仕事のご依頼はこちらから。
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