お母さんも好きな服を着て、日々を楽しめるように!

節目感がないお正月でしたがおめでとうございます。

あけましておめでとうございます。

今年は年越しに海外逃亡を企てたため(それは本当に多分いろんな雑音からの逃亡・・・)、全くもってお正月がありませんでしたが(しかもさ会社辞めたら納会とか仕事納めとか仕事始めとかがなくて、ほんと、節目感がない。)今年も一つよろしくお願いします。

さて、新年一つ目のブログですが、6回にわたってお届けしたMegさんインタビューを終えて思ったこと、を、つらつら書いていこうかと思います。

洋服の話を、きっと誰かと思いっきりしたかった

ファッション業界にいたわけではないし、仕事で関わったことも1ミリくらいしかない。でもやっぱり、洋服が好きだなあということを、Megさんとお話しながら、すごく思った。誰かと、洋服の話をするのはすごく楽しかった。あー、こういう話したかったんだなあ、と、しみじみ思った。

当たり前だけれど、洋服には安いものも高いものもある。そして、高いものにはきちんと理由がある。でも、ファストファッションがこれだけ増えて、高級メゾンの洋服とそっくりなものが安価で手に入るようにもなった。それを簡単に否定するわけじゃないけれど(いや、そっくりなものを作ってしまうのはどうかとは思うけれど)、ただ、「あえて高いものを選ぶ」理由が、少し曖昧になってきたような気がしていた。

そして私自身も、生活が変わり、家族ができて、お母さんになった。「お母さんなのに、自分の洋服にお金をかけるなんて。」と、いうようなことを、遠回しに言われたこともあった。(あるのです、そういうことがほんとうに。)

だけどMegさんと話していて、単純にものすごく楽しかった。あーやっぱり好きでよかった、と思った。そして、ずっと好きでいてよかった、と。

何を大切にするのか、は、人それぞれの基準がある。当然のことだけれど、洋服にかけられるお金だってそれぞれだ。でも私がずっと仕事をしたいと思う根っこには、好きな洋服を着たい、という思いがある気がする。それは、高校生のバイトの頃から、変わらない。お金がなさすぎた若い頃から今まで、なんやかんやで、洋服を一つのモチベーションにして生きてきた。それは自分にとって、すごく大切なことだ。そう心から思えた。

自分でしっかり選ぶこと

一方で、やっぱり消費されていくファッションを目の前にすると、「しっかり選ぶ」ことが大切だなあとも、思う。好きだからこそ、あまりに手当たり次第、「流行り物」に手を出していたくもないな、と。その時の気分でで欲しいものも実際あるから、その辺りのバランスって、すごく難しいのだけれど。

それが「流行り物」でよく目にするから欲しいのか、本当に自分が欲しいのか。その境目って、結構曖昧で分かりづらい。こんな、何十年もずっと服のこと考え続けてて、未だ分からなかったりするのだから。

でも、こういうことを、私はいつも考えている気がするのだけれど、(ほんとなんで私はいつもこんなにファッションのことを色々考えてしまうのだろうか。)ちょっと最近、悩むのにも慣れてきたかも、と、思う。というか、まあ、そういうのって悩んじゃうもんだよね、別に悩んだっていいよね、と、思えるようになってきた。好きなのだから仕方ない。・・・恋か。

たくさん考えた時間は、後から懐かしいと思えるという意味だけにおいても大切(かもしれない)

何事もそうで、私の理想は「てきとうにゆるく生きる」ことだけれど、ついつい考えすぎてしまうことがよくある。なんで、タモリさんのように受け流せないのだろうと思うことがよくある。サラリーマンを辞めたというのに、なぜまだ色々考えているのだろう、と。

でも、それはきっと、必要なことなのだ。考えても仕方のないことなのだけれども、あーいうこといっぱい考えていたなあ、と、思えること、その考えた時間は、もしかしたら、後から懐かしいと思えるいう意味だけにおいても大事なことなのだ、たぶん。

悩みながらも、少しずつ、変化してきた気はする。好きなものを纏う。それが流行りであろうが、そうでなかろうが、気分であろうが、とにかく好きなものを纏う。それが、自分の気分を確実に上げてくれるのであれば、それでいいじゃないか、と思えるようにはなってきた。

お母さんだって好きな服を着ていい。軽やかに、自分の日々を楽しんでいけるように。

お母さんだって、好きな服を着ていい。自分のお金くらいは、好きなことに使っていい。やっぱり私はそう思う。もっともっと、女性が(男性ももちろん。)軽やかに、自分の日々を、人生を、楽しんでいけるといいなと思う。そして私は、そういう空気を、作っていきたいなと思う。

やっぱり、私は洋服が好きで、それは、自分のベースになっている。それは、誰かにとっての音楽や、車や、バイクや、映画や、漫画と同じように。そういう好きなものがあるって、いいもんだな、と、思う。これにはお金をかけたい、というものが、一つくらいあるって、幸せなことだなあと。

2018年、いろいろ迷い戸惑いながらも、できるだけ肩の力を抜いて、好きなことをして!前に進んでいきたいと思います。

今年もよろしくお願いします!

まずは明日以降、セブ旅行記からアップする!予定!です!

「Swell Vintage」オーナーMegさん⑥ー好きなものを纏うということ

店舗を持たないウェブ上でのヴィンテージショップ「Swell Vintage」(以下SV)を営むMegさん。そのインスタからは、Megさんご本人のぶれないセンスも伝わってきます。このMegさんのセンスの秘密は何なのか。それが知りたくて、今回取材をお願いしました。

実際に会ってみたMegさんは、とても気さくで話しやすくて、そしてやっぱり一つのしっかりとした芯があって。そのセンスはもちろん、お人柄含めてますます好きになってしまいました。すごく良いお話がたくさん聞けたので、ぜひ読んでみてください。じっくり全6話でお届けします。

前回は、お仕事をする上でのご家族の支えのお話を伺いました。最終回は、Megさんが影響を受けたお母さんの話、そしてMegさんにとってお仕事とは、というお話です。

洋服が好きなのは、おしゃれなお母さんの影響も

まい: Megさんが、ご自身が影響を受けたものとか、人とかってありますか?

Megさん: 私、誰かに憧れを抱くってことがほとんどなくて。誰かを目指してるものとかもなくて。でも、多分服が好きなのって、やっぱり親の影響なのかなって。

ちっちゃい時に、キャラクターのキラキラしたピンクの靴がすごい欲しかったんだけど、母が絶対買ってくれなかったんです。

今でも忘れないんだけど、イトーヨーカドーの靴売り場で座り込んで泣いてる時に、うちの母が「絶対イヤだからこんなの買うの!」って言ってて、父が「買ってやれよ、もうすぐおっきくなって履けなくなっちゃうんだから、いいじゃん」って言ってて。でも母は「絶対イヤなの!」って。すごく覚えてるの(笑)

まい: (笑)

Megさん: うちの母はすっごいこだわりのある人で、ピンクとか着たいのに、絶対着せてくれなくて。茶色とかそんな色ばかりで。

でも、今になって、写真を見てると、ほんと可愛く着せてもらってるんです。やっぱり、そういうのが身近にあって、それで今があるのかな、っていう感じはする。

家に母が読むファッション雑誌も普通にあって。「なんかすごいかわいい服着てるな、お母さん、いいな」って、子供ながらに思ってたんです。その影響がやっぱり大きいのかな。

まい: おしゃれな方なんだ。今でもそうなんですか?

Megさん: 今でも服にはすごいこだわってて、古着も結構着たりとかしてて。あと私が週末にイベントが入ってる時は、母が家の手伝いに来てくれることもよくあるんだけど、着ていくものとかは母にも相談してます。色合いが暗いからこっちがいいんじゃないとか言ってくれて。そういうのもしょっちゅうやってるから、母の影響は大きいかな。

雑誌はあえて見ない。古い昔のスナップからインスピレーションを受ける

Megさん: あとは、芸能人とかじゃない、無名に近い方の、結構昔のスナップとかは、すごくよく見ます。

ネットの、そういうのをストックしてるサイトがあって、ピンタレストとか。そこに画像がどんどん出てくるから、それを見てて、今度こういうの組み合わせようかなーとかこれかわいいなーとか、考えてる。

まい: そこから、なんかこう、ご自身のお洋服のインスピレーションとか買い付けのイメージが湧いてきたり?

Megさん: うん。私、雑誌とか流行速報とか一切見ないんです。それに感化されたくなくて。

まい: もう、すごいわかる。

Megさん: その時その時で自分が気になってるものとかを手にしたいから、今年の流行色はとかは見ないようにしてて。

まい: それはあえて見ないように?

Megさん: そうそう。

まい: 流行に関係なく、やっぱり70年代が好き?

Megさん: うん、70年代が好き。でも今の歳でそれやるときつくて(笑)こないだのイベントの時もファーの帽子かぶってたら、うちの旦那が、「ここでやるのはいいけど、どっか違うとこ行ったら、ほんとイタいよ」って言ってて(笑)でも好きだからしょうがないんですよね。

まい: いやいや!(笑)すごくお似合いでしたよ!

好きなものを、着たいから着る。

まい: 小学校に行く用事がある時とかは?

Megさん: うん、もう、普通でいく。

まい: (笑)

Megさん: 極力普通にしてこうと思って。超地味ー!っていうので、ちょうどいいから。

まい: 超地味(笑)

Megさん: もうそれで行こうと思って、それで行ってる(笑)

まい: ほんと難しい、小学校!(笑)でも、なんだろう、今までも、人の目とかはそんなに気にしない方なんですか?

Megさん: うん、しない。好き放題やってきた人だから。

まい: 今までもそんな感じ?人に言われても、自分の好きなものを着る。

Megさん: うん、好きなものを着たいから着る、という感じです。子供が出来てからかな、気にするようになったのは。さすがに、お前んちのお母さんちょっと変だよね、みたいな話になるとね、かわいそうだから。そこはちょっと気にするけど、それまでは全然気にしてこなかった。本当に好きなのを着てました。

「人と同じ」はしたくない

まい: それは、お洋服以外でも、好きなことを貫く、というのはずっと?

Megさん: うん、そうだし、私多分天邪鬼で、人と同じことをしたくないっていうのがずっとあって。人が白を着るなら私は黒を着るみたいな感じで、なんか世間の波からいつも逆らってた。あと若い時は、流行の波に一番先に乗れることをめざしてた!後乗りがイヤで(笑)

まい: はいはい(笑)

Megさん: 「なんか変じゃない、めぐちゃんが着てるのー!」って言われて、「これから流行るよー」と言って。その何ヶ月後かに、「ほらみんな着てる!」って言う、そんな人だった(笑)

まい: その感じわかる(笑)その上で、今は、流行はあえて見ないようにして、自分のセンスで選ぶ、という。

Megさん:うんうん、そう、そう。今までの集大成というか、そういう中で残ったものを、気分で選んで着てるんだと思う。

まい: うんうん。なんか見えてきた感じがします。

仕事は、すべての活力源

まい: 最後に、Megさんにとって、お仕事ってなんですか?

Megさん:すごいありきたりだけど、活力源とか、そんな感じです、一言で言ってしまうと。それがあって、すべてがこう、順調に走れるっていうか。そんな感じかな。

まい: うんうん。本当に好きなことですもんね。好きなことを仕事にしてる。そっか。子育てしながら仕事をしていこうというのはずっと思っていたこと?

Megさん:  結婚する前は、仕事が辛かったから、結婚して子供産んだら、仕事は辞めようって思ってたんですけど、いざそうなった時に、恐怖感というか、すごい離れ小島に残っちゃって、どうしよう、という感じがあって。だから私の場合は、なんか仕事やらなきゃな、っていう感じがあったかな。

まい: でもそれがね、ちゃんと形になって、続けてこられたっていうのがすごい。私がなんだかすごい勇気づけられました。ありがとうございます。

編集後記

すごい、ほんとに素敵な人だ、と、帰り道ワクワクしていた。

多分、物心ついた時からずっと、私は洋服が好きだった。でも、ずっと、なんというかファッション雑誌のキラキラした世界観が苦手で、洋服が好きな自分って一体なんだんだろう、ファッションってなんなんだろう、これは少し、浅はかな世界だったりするのかな、と、どこかでずっと思っていた。

でも今回Megさんにお会いして、たくさんお話して、心の底から、やっぱりファッションって最高だ、大好きだ、と思った。きっと、Megさんが、ほんとうの、本物の、ファッション好きの人だからだと思う。ものすごく純粋な、そして凛とした、Megさんの芯に触れて、洋服やファシッションの力みたいなものを、すごく感じた。ずっと、洋服を好きでいてよかったと、心底思った。

好きなものを、着る。

それは、簡単なようでいて、難しい。

でも、窮屈だった世界が今、少しずつ開かれていくのを感じるように、洋服も、肩肘張らず、もっともっと好きなものを纏えるようになっていきたい。

それはきっと、自分の世界を豊かにしてくれる。そして、好きなものを纏うことは、心を伸びやかにしてくれる。ファッションってきっと、そういうものだ。

まい

 

Profile

Meg: 独自のセンスで、2013年に「Swell Vintage」をスタート。ショップで販売するものは全て、自らハワイやLAから買い付ける。インスタグラムの世界観も人気で、フォロワー数は2017年12月現在で1.9万人。

「Swell Vintage」オーナーMegさん⑤ー大好きな仕事と、家族の支え

店舗を持たないウェブ上でのヴィンテージショップ「Swell Vintage」(以下SV)を営むMegさん。そのインスタからは、Megさんご本人のぶれないセンスも伝わってきます。このMegさんのセンスの秘密は何なのか。それが知りたくて、今回取材をお願いしました。

実際に会ってみたMegさんは、とても気さくで話しやすくて、そしてやっぱり一つのしっかりとした芯があって。そのセンスはもちろん、お人柄含めてますます好きになってしまいました。すごく良いお話がたくさん聞けたので、ぜひ読んでみてください。じっくり全6話でお届けします。

前回は、買い付けのこだわり、そして、インスタグラムのお話を伺いました。今回は、プライベートのこと、ご家族のことも伺います。

それでも好きなことをやっているから、今がいい。

まい: それでもなんだろう、前は会社員をされていて、ある程度、守られた立場でもあって。でも今は一人で、そういう大変なこととかも自分で処理しなくちゃいけない。どっちが大変とかしんどいとかありますか?それでも今の方がいい?

Megさん: それはもう断然、今の方がいいです。結局、好きなことをやってるから。やっぱり会社員の時は、やらされてるっていう仕事もあったし、そこは大きな違いですよね。

まい: やっぱそうですよね(深く深く頷く)

自分で色んなことを処理しなくちゃいけないとしても、やっぱり好きなことをやってるから。大変だなと思うことがあっても乗り越えられるのは、好きなことをしているから。

Megさん: うんうん。会社にいた時は、なんでこんなことしなきゃいけなんだろうっていうのが何かしらあって。それが今ないというのはやっぱりすごく大きい。

あ、でも、接客するのははすごい好きだったんですけど。

まい: あ、それ、私この前お店に行った時すごく思って。やっぱりこう、話していて、すごく人当たりがいいというか。接客の仕事されてたのかなって思ったんですよね。

Megさん: 受付で接客の仕事はしてたけど、モノを介しての接客は初めてで、未だによくわからないとこも多くて。これで合ってるのかな、といつも思いながら…。

まい: ほんと?(笑) すごいお話しやすかったです。

Megさん: ほんとに?(笑) 私、見た目が多分敬遠されがちキャラで。怒ってる?いやいや怒ってませんよ!みたいな感じがすごい多くって(笑)

まい: そこから入るからかな(笑)

Megさん:何か、近寄りがたい、ツンとしてそう、という風に見られて。全然違うのに(笑)

仕事を認めてくれた、旦那さんのサポート

まい: プライベートのことなんですけど、先ほど、今の生活を守るために、これ以上店舗を持ったりとかは今の所考えてないというお話も伺いましたが、お母さんや家庭と仕事との両立で、こういうとこは気にしてるとか、ここは大変だとか、ありますか?

Megさん: うちは、旦那の方のおばあちゃん(義母)が一緒に住んでて、「行っておいで、頑張っておいで」っていつも言ってくれてて。子供迎えに行ってくれたりとか、一緒に待ってくれたりとか、宿題の面倒見てくれたりとかしてくれていて、助かってます。

あと、旦那のサポートもやっぱりすごくあって。だからこそやれてる部分は多いと思う。

まい: 旦那さんも同じようなお仕事なんですか?

Megさん: ううん、旦那は全然違って、広告業界なんだけど。

まい: 出た!激務!私も同業だったので…(笑)

Megさん: そう、激務(笑) でも、やっぱり仕事的に共通する部分はすごくあって。例えばポップアップの時にレイアウトを考えてくれたり、すごい協力的で。

まい: うんうん、仕事以外の場所で、自分のやりたいことができるってすごく楽しいですもんね。

Megさん: それにすごく助けられてます。こないだのLAの買い付けの時も、すごい細かく地図とか作ってくれて。このお店はこの時間からこの時間までは開いてるから、こうやって回ればいいとか、全部google mapに入れてくれて。

まい: すごい!それは頼もしい!

Megさん: 私が最初にSVを始めた頃は、なんていうんだろう、主婦の趣味の延長みたいに思ってたのか、夜中まで作業したりしてるのも、何やってんだみたいに思われたりもしてたと思うんですけど。

でも、周りから、奥さんすごいですね、奥さんのお店で買いました!みたいなことを、ちらほら言われるようになって、そしたらちょっと見る目が変わってきたというか、認めてくれるようになった感じがあって。そこからの理解力とかサポートがほんとに大きくて。あーなんか、この人と結婚した理由はここだったんだーって、腑に落ちた感じがすごいあります。

まい: あーそれはすごい嬉しいですよね。旦那さんがお仕事を理解してくれたり、応援してくれたりってすごい嬉しい。あと、私もなんだけど、夫と仕事の話するのってすごい楽しいんですよね。

Megさん: そうそう。まいさんとこもそうだと思うんだけど、向こうはすごい論理的だから。

まい: そうそう!それがキーってなることもよくあるけど!(笑)

Megさん: そうそう(笑)でも、私がやっぱり感覚の人だから、そこのバランスがいいんですよね。そこは感謝してる。

お母さんと仕事との両立の悩み

息子さんと♡(写真提供:Megさん)

Megさん:けどやっぱり、息子は寂しそうなんですよね。なんかやっぱり、無理してるのもわかるから。子どものそういう表情を一瞬見てしまうと、何かね。

まい: あーもう、みんなが思うとこですよね、そこはね。

Megさん: 宿題も多いし、いつもちゃんとは見れない分、言いたいことがいっぱいあって…、結局ガミガミしちゃって。でも、本当は優しくしたいんだよー!って。

まい: うんうん。

Megさん: そういうのが結構あって、それが常に自分を苦しめてる気がします。いいのかなーこれでって。

まい: うん、短い時間でね、どうやって伝えればいいのかって。

Megさん: そうそう。でも結局怒ってるっていうね。やりなさい!って言ってる。自分がやだなーって思う。でもしょうがないのかなとも思うんですけど。

まい: わかるなー。でもこれ、私自分でいつも言っちゃってるんですけど、好きな仕事をしてるお母さんを見て育って欲しいなと思ってて。

Megさん: そう!そうだよね。

まい: なんか、ずっと一緒にはいられないけど、でも、大人っていいなって、最終的に思ってくれればそれでいいのかなって。

Megさん: うんうん。ほんとに。

子育てと仕事の両立に悩むのは、Megさんも同じ。でも、ご家族の支えがあって、大好きなお仕事を続けていける、とも。次回、最終回では、そんなMegさんにとってのお仕事とは、というお話も伺います。

Profile

Meg: 独自のセンスで、2013年に「Swell Vintage」をスタート。ショップで販売するものは全て、自らハワイやLAから買い付ける。インスタグラムの世界観も人気で、フォロワー数は2017年12月現在で1.9万人。

「Swell Vintage」オーナーMegさん④ー買い付けるものは、自分が着たいもの

店舗を持たないウェブ上でのヴィンテージショップ「Swell Vintage」(以下SV)を営むMegさん。そのインスタからは、Megさんご本人のぶれないセンスも伝わってきます。このMegさんのセンスの秘密は何なのか。それが知りたくて、今回取材をお願いしました。

実際に会ってみたMegさんは、とても気さくで話しやすくて、そしてやっぱり一つのしっかりとした芯があって。そのセンスはもちろん、お人柄含めてますます好きになってしまいました。すごく良いお話がたくさん聞けたので、ぜひ読んでみてください。じっくり全6話でお届けします。

前回は、いろんな流行を目の前で見てきたことが、今につながっている、というお話を伺いました。今回は、買い付けのこと、そして素敵な世界観のインスタグラムについて伺います。

「売れるもの」ではなくて「着たいもの」を買い付ける

まい: お洋服を買い付ける時に、こういうところは大事にしてるとかはありますか?

Megさん: 結局やっぱり、自分が着たいか着たくないかで決めていて。売れるか売れないかということでなく、着たいか着たくないかを大事にしています。

一度ね、「売れるもの」っていうのを意識して買い付けてみたことがあったんだけど、売れないんです。やっぱりお客様を下に見るような買い付けはしちゃいけないなと思って。いや、決して下になんかは見ていないんだけど、スタンスとして、そういう意味での商売っ気を出しちゃいけないなって思って。

私はやっぱり、こういう規模感でやってるから。たくさんお店があってやってるならまた違うやり方があるんだろうけど。やっぱり、私がいいと思って、私が着たいと思ったものじゃないとダメだと思って。それは絶対に頭においてやっています。

まい: うんうん。それが強みでもありますよね。一人でやる強みっていうのは、自分のセンスとかを前面に押し出せるとことでもある。

でもなんかお話を聞いていると、めぐさんのその、ご自身のセンスに委ねて「自分が着たいものを買い付ける」というところと、お客さんの立場に立って真剣に考える、というそのバランスがすごいですよね。

Megさん: それはね多分私が全然ファッション業界にいたことがなかったからだと思う。だから私、お客さんとしての気持ちもすごいわかるんですよね。私はずっとお客さんだったから。

まい: そうか!なるほど。そこはやっぱりすごく強みなんですね。

高い洋服は飽きても、古着はずっと飽きない

まい: ご自身のお洋服を選ぶ時に、こだわりとかっていうのはありますか?それもなんとなく本当に好きっていう?

Megさん: それも感覚でしかないかなあ。これかわいいなーって。

まい: やっぱり古着が多い?

Megさん: ほとんど古着ですね。すごい高い、いい服も持ってたんだけど、でもそういうのも、どうしても飽きちゃう。いつかまた着られると思うんだけど、なんか気付くと興味がなくなっていて(笑)

まい: でも確かに、飽きないんですよね古着って。

Megさん: ほんとに、あれはなんなんだろう。

まい: ね、昔からやっぱり残ってるからなのかな。

Megさん: よくね、これどこで買ったんだっけ?って服が出てくるんだけど、古着は全部覚えてるの、買ったところ。あーこれあそこのお店で買ったなって。そういうストーリー丸ごと好き!

買い付け中は、自分のものを選びたいというシャッターを極力閉じる

LAでの買い付け(写真:Megさん提供)

まい: 自分が買い付けるお洋服と、自分で着ようと思って買う服って、違ったりしますか?

Megさん: 基本は全く一緒で、だから極力買い付け中は、自分が着る洋服を選ぶシャッターを閉じます。自分が着たくても、自分は今買い付けに来てるから、それはダメだって、自分が着るんじゃないからって。でもね、一着はどうしても、ある(笑)

まい: これだけは、っていうのが?(笑)

Megさん: うん、どうしても、これだけはごめんなさいっていうのが。こないだLAでもあって。それはお店に入った瞬間に、これは私が着る服だ!ごめんなさい売れませんって、値段も見ずにそう思っちゃうのが。

そういうのはどうしてもあるけど、基本的には買い付けの時は、自分が欲しいものを選ぶけど、自分のものっていうのはいったん忘れるようにしてます。

まい: そうか、でも本当にそれくらい一緒なんですね。買い付けるものと、着たいものが。いいなでも、それも醍醐味ですね。Megさんが本当に着たいものだから、お客さんも信頼できるんだと思う。

インスタのフィードでブランドイメージを表現する

まい: あとは、インスタのお話を聞かせてください。インスタのお写真を撮る時とか、アップする時とかに、気をつけてることとかはありますか?

Megさん: 引きで見た時のバランスをすごい考えてます。私はお店を持ってないから、そこのイメージって、すごくインスタに直結すると思っていて。

そこ(インスタのフィード)で、SVのイメージをつかんでもらえるようにしてる。だから私はあえて、お店とプライベートを分けてなくって。というのは、私個人がやっているお店だから、全部ひっくるめてわかってほしいっていうのがあるんです。

まい: なるほど、素晴らしい。

Megさん: でもカッコつけすぎても何か違うし、自然すぎても違うし…という感じで、そこのバランスを考えてます。

その時に、周りとのバランスも大事にしてて、黒いものが続いてて、黒々しいなーと思ったら白のものをアップしてみたりとか。全体のバランスをいつもとるようにしてる。

まい: へー!!じゃあ本当にそのページだけで、ブランドのイメージを伝わるように。

Megさん: うん、パッと見た目の印象がすごい大事だから。

まい: 一枚一枚というよりは、そこなんですね。ブランディングの考え方だ。すごい。

インスタをやっていて、困ったこと、疲れたこと

まい: インスタをやっていて、ちょっと困ったこととか、疲れちゃったなってこととかありますか?

Megさん: 私ね、フォロワーさんの1万9千人っていうのが、ずっと全然実感がなくて。でも音楽アーティストのライブに行った時に、「2万何千人のみんなー!」って言ってて。え、こんなに?って。

まい: そっかー!

Megさん: 約2万人って、こんなにいるの?っていうのを、肌で感じて。それまでは全然ピンと来てなくて。変な話、思ったこともすぐ書いちゃってたし。

でも、フォロワーさんが1万人以上とかに増えてくると、ちょっとこう、ネガティブな内容とかは、ご指摘を受けたりすることもあります。

まい: はい、はい。

Megさん: 誰かの写真が素敵だなと思っていいねします、5個前の写真も素敵だったからいいねします。でもその間の写真も、いいと思ってもらえてないのかなーとか思われちゃうのも嫌だからいいねします、とか…。

まい: うんうん、あるある。

Megさん: でも、そういうのって、どうなのかなと思っちゃって。いいと思ったのだけいいねすればいいのになって。

まい: はいはい、もうすごいわかる。

Megさん: それをちょっとインスタに書いたの。単純にいいと思う写真に「いいね」したいだけなんだけど、義理のいいねとか、そういうのはちょっとなってね、つぶやいたんです。そしたら、すごかった!コメントが。もちろん、Megさんが書いてくれてすっきりしましたってコメントくれる方とかもいるんだけど、感じ悪いですっていう方もいて。

まい: うん、色んな人がいるから。

Megさん: その時は、きちんと気持ちも伝えたくて、一つ一つのコメントに返信したけど、そのことがあってからは、見ている方に嫌な思いさせないようにということを心がけてる。少なからず自分の発言の影響力とか責任とかも。だからその投稿も、自分で気をつけるためにあえて残していて。

だからってもちろん、見繕うというか、よく見せるっていうのも違うしと思うし、基本的には感じたまま書きたいとも思うんだけど。

まい: うんうん、そのバランスが難しいのはすごくわかる。そうか、そういうこともあったんですね。一人でやっていると、そういうことも、一人でどうすべきか考えなくちゃいけないですもんね。

買い付けも、インスタも、Megさんの思いとこだわり、そしてお客さんに対する思いやりが詰まっていることが本当によくわかるお話でした。次回は、ご家族のこと、プライベートのことも伺います。

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Meg: 独自のセンスで、2013年に「Swell Vintage」をスタート。ショップで販売するものは全て、自らハワイやLAから買い付ける。インスタグラムの世界観も人気で、フォロワー数は2017年12月現在で1.9万人。

 

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「Swell Vintage」オーナーMegさん③ー若い人たちにもファッションの楽しさを

店舗を持たないウェブ上でのヴィンテージショップ「Swell Vintage」(以下SV)を営むMegさん。そのインスタからは、Megさんご本人のぶれないセンスも伝わってきます。このMegさんのセンスの秘密は何なのか。それが知りたくて、今回取材をお願いしました。

実際に会ってみたMegさんは、とても気さくで話しやすくて、そしてやっぱり一つのしっかりとした芯があって。そのセンスはもちろん、お人柄含めてますます好きになってしまいました。すごく良いお話がたくさん聞けたので、ぜひ読んでみてください。じっくり全6話でお届けします。

前回は、SVの転機とこれからのお話を伺いました。今回は、そんなSVの全てとも言える、Megさんのセンスの秘密に迫ります!

自分は洋服の「デザイナー」でなくて「バイヤー」

まい: ポップアップはいつ頃から始めたんですか?

Megさん: plageさんと一緒にやらせていただいたのが、1年前くらいで、それが一番最初です。まだポップアップとかやってるとこもあまりなくて、早かったと思う。

Plageのイベントにて(写真:Megさん提供)

私もずっと洋服は好きだけど、ファッション業界にいたことは一度もないから、すごい面白かった。ファッション業界の話を聞くと、すごいなあ、面白い世界だなあって。

でも私ね、洋服デザインのセンスはないんですよね(笑)

まい: へーそうなんだ!それはすごく意外!

Megさん: 例えば、おっきいワンピースを作るのにね、こんなちっちゃい生地見本しか出てこないから、全くピンとこなくて!もっと大きい見本で見せてくれなきゃわからないよーって(笑)

まい: なるほど(笑)

Megさん: 私は、出来上がってみてやっとわかるんです。やっぱり、こっちの生地よりこっちの方が、出来上がってみると結局よかった、って。だから服に関しては、一から作り上げるよりも選ぶ方が合ってるんだってわかった。そして選んでる時の方が、比にならないくらい楽しい!

それでね、私デザイナーじゃないんだ、やっぱり私、バイヤーだ、って、その時思ったんです。バイヤーは天職だって、そこではっきり思えた。

まい: なるほど、すごい面白いです。でも、やってみることも大事だし、そこで自分の向き不向きを知るっていうのはすごく大事ですよね。一人ならなおさらね、あれもこれもというわけにはいかないし。

Megさん: うんうん、そうだよね。

色んな流行を全部見て、楽しんできたから今がある

まい: Megさんの好きな世界観とか、お洋服のテイストっていうのは、ずっと変わらないんですか?

Megさん: 変わらないかもしれない。70年代生まれだから、アメカジも、ギャルっぽいのも、モードも、全部一通り流行を経験してきて、全部好きだったんです。でもやっぱり、惹かれがちなのは、民族調のもの、70年代のものがすごい多い。

まい: 今のMegさんの、そのぶれないかっこよさとか、なんだろう、人と違ってもすごくおしゃれな感じとかって、色んなかっこをしてきたからなのか、こだわってるところがあるからなのか。どうしてなんだろう。

Megさん: やっぱり世代として、いろんな流行を見てきて、生で体感してたから、全部が身近なんです。

例えば、「モードが流行っていた時代をリアルには知らないけど、好きだから着ている」というのとはやっぱり違って、モードが目の前で流行ってるのを見て、それを着てた。目の前の流行を、ずっと全部追ってきた世代だから。それがベースにあるのかな。

まい: なるほど、色んなテイストの服を見て、それを自分でも楽しんで、なおかつやっぱりこれが好きっていうものがあったから、それが今のMegさんに繋がってるのかな。

若い人たちにも、ファッションのワクワク感を楽しんでほしい!

Megさん: でも、あの頃が今と違うのは、ファストファッションがなかったんですよね。

まい: そう、そうですよね。

Megさん: いい服は、やっぱり高かった。でも今はファストファッションがいっぱいあるから、なんかあの時の感じがすごい恋しいの。

まい: わかる!頑張ってお金を貯めて、なんとか一着を買う感じが。

Megさん: そうなのそうなの。あの洋服が欲しいから、ちょっと今日のご飯はこれで我慢しよう、とかそういうの!

まい: やってたやってた!(笑)

Megさん

そこがベースにある世代って、なんかずっとファッションが好きな気がするんですよね。やっぱりなんか違うのかな、そこでね。今の若い子達ってやっぱり、安いもので満足しちゃうから。そして市場も同じものが溢れてて安っぽい!このままじゃ日本のファッションはどんどんダメになると思うんだよね。

まい: そうですよね、ファッションにお金をかけないのかなぁ。

Megさん: 食事もそうで、イタリアンもフレンチも安いでしょう。昔はそれなりに高いお店があって、なかなか行けなくて。でも今は、クーポンを使ったりしてすごく安く行けちゃう。そういう風に、「憧れ」で頑張らなくても、全部手に入るから、欲がないというか。そういう風潮を、なんかずっと、どうにかならないのかなーと思ってて。時代なのかもしれないけど。

まい: でもそれって、それこそ、ヴィンテージとか一点ものとか、そこから変えていけるものってもしかしたらね、なんかあるのかなっていう感じがする。

Megさん: うんうん。

まい: 私も多分、ギリギリ古着世代というか、高校の時に京都の古着やさんを巡るみたいな感じで。

Megさん: いいよね、京都の古着屋さんね!

まい: それこそお金がなくてもね、ファッションを楽しめるというか、そういうところもあって。そういう感じどうなんだろうな、あるといいんだけどな、今も。

Megさん: でも今の若い子たちには、古着ブームっていうだけじゃなくて、そういうのひっくるめて、なんかファッションのワクワク感を楽しんでほしいな、もうちょっと感じてほしいな、って思ってる。

まい: うんうん、ね。やっぱりそういうのがモチベーションになってたから。それくらいにはなって欲しいな。味気なくなっちゃいますよね、なんか。絶対に必要なものじゃないんだけど、ファッションって。でも、頑張ってお金をかけたい、っていうのがないと。

Megさん:そうそう、そうなんですよね。

まい: Megさんみたいに、もともとそういうファッショの仕事をしてたんじゃなくて、ただただ服が好きだったっていう人だとなおさら思うのかもしれない。それできっと、Megさんのようなお仕事や、古着とかVintageとか、そういうものが、若い人にファッションの「ワクワク感」を知ってもらう、何かいいきっかけになる気がします。

いろんな流行を目の前で見てきたことが、今につながっている、というMegさん。だからこそ、若い人たちに、ファッションの楽しさを知ってほしい、という思いもすごく伝わってきました。次回は、Megさんが買い付けの時に気をつけていること、そして気になるインスタのこだわりについてのお話です。

Profile

Meg: 独自のセンスで、2013年に「Swell Vintage」をスタート。ショップで販売するものは全て、自らハワイやLAから買い付ける。インスタグラムの世界観も人気で、フォロワー数は2017年12月現在で1.9万人。

 

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「Swell Vintage」オーナーMegさん②ーSVの転機と、これからのこと 

店舗を持たないウェブ上でのヴィンテージショップ「Swell Vintage」(以下SV)を営むMegさん。そのインスタからは、Megさんご本人のぶれないセンスも伝わってきます。このMegさんのセンスの秘密は何なのか。それが知りたくて、今回取材をお願いしました。

実際に会ってみたMegさんは、とても気さくで話しやすくて、そしてやっぱり一つのしっかりとした芯があって。そのセンスはもちろん、お人柄含めてますます好きになってしまいました。すごく良いお話がたくさん聞けたので、ぜひ読んでみてください。じっくり全6話でお届けします。

前回は、ファッション業界とは無縁だったMegさんがSVをスタートした時のお話。今回は、そんなSVの転機となったエピソードと、これからについて伺います。

古着を扱うようになるまでーー「自分の気分」で扱うものを決めたい

まい: クラッチの販売から始めて、それから古着を扱うようになったのは、どういう流れだったんですか?

Megさん: ワッペンクラッチを作るのに、アメリカのボーイスカウトの古着のシャツについてるワッペンをメインに使っていたの。それをメインに、古いワッペンを使っていて。

ボーイスカウトって、経験を積むと、シャツにワッペンをつけてもらえる仕組みになっているんだけど、古着屋さんにそのシャツを仕入れに行っていたから、古着が身近にあったんです。

バッグだけ載せてると、サイトが少し寂しくて。そこに鮮やかな色のヴィンテージのTシャツとかがあれば、サイトも華やかになるな、と思ったの。それで、身近に古着屋さんがあるんだから、古着も一緒に買い付けちゃおうということになったんです。もちろん元々自分が古着が好きだというのもあって。

まい: サイトに深みを持たせるために、という感じで?

Megさん: そうそう、最初は本当にそんな感じで。

まい: なるほど、そういう流れで古着を扱うようになっていたんですね。古着が身近にあった、というのがよくわかる。

今はもうクラッチは作ってないんでしたっけ?

Megさん: うん、私が今はちょっとクラッチの気分じゃなくて。

まい: あ、それってすごく大事。自分がやりたいかやりたくないかって。せっかく自分でやるならね。

Megさん: そう、私が気分じゃないものは扱いたくなくて。

でも、クラッチを今でも使ってくださっているお客さんがいてくれて、それがすごくうれしい。やっぱりそれがSVの原点だから。

写真:Megさん提供

今となれば、最初から古着でやっていたわけじゃなくて、このクラッチが原点で良かったなって思う。それで最終的に、古着に行き着いたのも自分らしいなって思っていて。

まい: うんうん。ちゃんとそこにストーリーがあるんですね。ちなみにシルバーアクセサリー(Swell Silver)はどういった流れで扱い始めたんですか?

Megさん: それも私が単純に昔から好きだったんです。でも、今流行りのシルバーって、華奢なのが多くて、私が好きな感じではなくて。それで、ごつくて個性的なのが揃ってる古着屋さんでよく見てたの。でも、古着屋さんにあるのって、すごく素敵なんだけど、全部サイズが15とかで大きくて。だから、自分で作っちゃおうかなって思ったんです。

まい: なるほど、それも独学で?

Megさん: うん、デザインの経験が全くないから、自分なりに簡単なデッサンを描いて、職人さんにこういうの欲しいんですけどって言って。いやーそれはーみたいなやりとりがあって(笑)

まい: (笑)でも、本当に全部手探りで、自分で一から作り上げていったんですね、すごい。

インスタグラムがきっかけで、セレクトショップとのコラボも

まい: そういうSVが大きくなって行ったきっかけってありますか?

Megさん: やっぱりインスタが大きいかなあ。そのつながりで、plageさんでのイベントもやらせていただくことになって。

まい: plageさんでのイベントもインスタつながりなんですね!

Megさん: SVを始めた時期も、ちょうど、インスタって何?って、みんなが興味を示してる時期だったから余計にかな、それから数年してインスタもさらに浸透してきて、そこでイベントもやらせてもらって…。そこから、わーって大きくなっていった感じがある。

でもなんかね、結果、私もツイてるなと思うんです。ラッキーだなって。

まい: うんそれもね、やっぱりこう、SNSから人気が出た方って、みなさんそういう風に「運が良かった」っておっしゃるんですけど、でも、「運も実力のうち」ってよく言われることだけど、やっぱりその通りだなって思う。それも実力なんですよね。

今はお店を持ちたいわけではない。自分のライフスタイルに合った、今の規模で続けていきたい

まい: そうやって大きくなってきたSVですけど、これから店舗を持とうとかは?

Megさん: 私、お店に憧れは全くないんです。多分、今のライフスタイルにこの規模感がとても合っていて。きついと思うこともあるんだけど、お店を持ったら今の生活が保てないから。

よく取材とか受けて、「最終的にはお店持たれたいんですよね」とか言われるんだけど、「全然そういうのないんです」って答えるんです。みんなえーって言うんだけど(笑)

持てたらいいなとも思うけど、でも、お店を持った時に、そこに私がずっといれるかっているといられないから。誰かに任せればいいじゃないですかって言われるんだけど、それがどうしてもできなくて。

まい: あーすごいわかる。自分の手の届く範囲で仕事をしてたいっていう感じですよね。

Megさん: そうなの。任せないと大きくなれないよって言われるんだけど、その大きくしたいっていうのも今はあまりなくて。今のこのオンラインとポップアップっていう形がすごく私に合ってるんだと思います。

まい: 好きなことをしてたらここに来てたからね、そのまま好きなことを続けていきたいっていう感じですよね。

Megさん: うんうん、ほんとそうなの。

「Swell Vintage とだったら一緒にやってもいいよ」と言ってもらえるお店にしたい

まい: じゃあやっぱりSVとしては今のペースを守ってやっていきたいなっていう感じですか?

Megさん: そうですね。あとは、イベントとかで、もっといろんな人と組みたいなというのはあって。来年からは色んな会社やショップでバイイング、ディレクション、イベントとかのお仕事ができたらとも思ってます。

「普通はコラボとかしないけど、SVとだったら一緒にやってもいいよ」と言ってもらえる、そんなお店になっていかなきゃいけないなとは思っていて。

まい: やっぱりそのためには、いいものを仕入れる、っていうのが一番?

Megさん: うん。あとは今、うちのイメージというか、なんかそれを、もうちょっと変えていくべきなのか、そういう基本的な、根本的な何かを考える時期ではあって。

まい: ブランドイメージみたいなところで?

Megさん: そう、もっと広げなきゃいけないのかなーって。でも、結局は私がいいと思うかよくないと思うかにかかってるから。

まい: うんうん。やっぱりそこはMegさんの世界観とか、いいと思ってるものが大事になってくると思う。ここからのSVもすごく楽しみです。

インスタグラムがきっかけで、成長してきたSV。それでも、今の規模がちょうどいい、とも。次回は、そんなSVの全てとも言える、Megさんのセンスの秘密に迫ります。

Profile

Meg: 独自のセンスで、2013年に「Swell Vintage」をスタート。ショップで販売するものは全て、自らハワイやLAから買い付ける。インスタグラムの世界観も人気で、フォロワー数は2017年12月現在で1.9万人。

 

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「Swell Vintage」オーナーMegさん① 手探りでSVをスタート!

店舗を持たないウェブ上でのヴィンテージショップ「Swell Vintage」(以下SV)を営むMegさん。そのインスタからは、Megさんご本人のぶれないセンスも伝わってきます。このMegさんのセンスの秘密は何なのか。それが知りたくて、今回取材をお願いしました。

実際に会ってみたMegさんは、とても気さくで話しやすくて、そしてやっぱり一つのしっかりとした芯があって。そのセンスはもちろん、お人柄含めてますます好きになってしまいました。すごく良いお話がたくさん聞けたので、ぜひ読んでみてください。じっくり全6話でお届けします。

保育園が見つからず、会社を退社。それでも何か仕事がしたい!

まい: まず、SVを始めたきっかけを教えてください。やっぱりもともとアパレル関係のお仕事をされてたんですか?

Megさん: 元々は、企業のレセプション、受付の仕事をしていました。広告代理店とか、IT企業とか、自動車会社とかいろんな大手を転々と。最終的には、管理の方で、採用とか、教育の仕事をしていて、だからファッション業界にいたことはなくて。

まい: ファッション業界じゃなかったんですね!それはどれくらいの間やっていたんですか?

Megさん: 15年くらいかな?そのあと、出産をして、育休を取ったんだけど、実は、その時の上司にも勧められて、最終的にはマナーの先生になろうと思っていたんです。採用とか教育の仕事の延長で。

でもファッションの仕事はどこかでずっとしたくて、モヤモヤした気持ちが、なんかずっとあって…。でもそれはたぶん無理だろうな、こっち(マナーの先生)でやっていくんだろうなって、思ってて。

だけど、その頃住んでいた地域が、待機児童のすごく多いところで、結局保育所が見つからず、会社を辞めなきゃいけなくなっちゃったんです。

まい: ああそうだ、その頃って待機児童問題がちょうど大きくなっていった頃ですよね。

Megさん:会社を辞めました、でも私これからどうすんだろう、ってすごい考えて。それでその時、ファッションの仕事がやっぱりやりたいなって思ったんです。

私ずっと、育児をベースに、ファッションも載せつつ…といった形のブログをやっていたんだけど、それを見てくれてた、同い年の子供がいるママが、ある日突然メッセージをくれて。

私が家族旅行でハワイに行くってブログに書いたら、「うちもちょうど同じ時期にハワイに行くんです。子供大変ですよね、やっぱりまだよちよち歩きで。だから一緒に遊ばせませんかー」って言ってくれたんです。

それがきっかけで、その子と仲良くなって、二人でよく、「子供がいて、育児に追われて、それでこのまま人生終わってくのかなー」とか話してて(笑)

まい:(笑)

Megさん: その子が、そのあと一緒にSVを立ち上げるリカなんです。

SVのスタート ーパートナー、リカさんとの出会い

まい: 最初はお二人でやっていたんですよね。

Megさん: そうなんです。彼女はなんていうんだろう、すごくアクティブで、すぐに行動に移すタイプで。私は色々考えちゃって、慎重になっちゃうタイプだから、そもそもやろう!って決心できたのも、彼女の影響がすごく大きいと思う。彼女がいなかったら、SVは始めていなかったと思います。

まい: そうか、すごくいいパートナーだったんだ。

Megさん: ちょうどその頃、クラッチが流行ってて。でも、よく見るのは合皮の、いまいちなイラストとかロゴが入ってるやつで(笑)けどこれ、本革がいいよねーって話をしてて、それ、作っちゃおっか!って話になったの。それがSVのそもそもの始まりなんです。

でも二人ともそんなものづくりをしたことがなかったから、「作るって言っても作れるの?」「どうやって縫うの?」「とりあえずミシン買いに行こっか!」って。

まい: そこから(笑)

Megさん: うん、本当にそこから手探りで。ファッション業界のこともわからないし、何からしたらいいのかもわからないような状態で。「なるべく分厚い生地が縫えるミシンないですかー!」って探すところから。

そこから、まずは何かベースになるものを作ろうっていう話になって。ちょうどその頃、私の息子が着ていたワッペンがたくさんついたシャツがあったんだけど、それがすごくお気に入りで、「そういうクラッチがあったら絶対かわいい!」っていう話になったの。「それ作ろうよ!」って。

でも、本革で作ろうって決めたのはいいものの、クラッチにできるような柔らかい革って、なかなか見つからないの。でも、リカが色々と問屋さんを探し回ってくれて。最初に作ったクラッチの革も、リカが見つけてくれた。彼女はそういう行動力がすごくあって。

それがあったから、私はワッペンの配置に集中することができたの。だから本当に、彼女には感謝してて。

まい: そうか、ほんとに、それぞれの特技をちゃんと生かして。

Megさん: うん。リカは、「私にはそのワッペンの配置は考えられない、そこはめぐちゃんのセンスだから」って言ってくれて。

私はなんだかんだ、ほんとに人に恵まれてるんだと思う。なんていうんだろう、私のセンスを信じて、支えてくれる人がいたから、ここまでやってこられたんだと思う。

まい: うんうん。最初の始まりから、まさにそうですもんね。

真夜中に二人で泣きながら、クラッチバッグのサンプルを作成

Megさんとリカさんが初めて作ったクラッチ。(Megさん提供)

Megさん: リカが探し回ってくれておかげで、なんとか材料を一通り揃えることができて。最初の頃は、ワッペンを付けるのは手縫いでやってたの。でも、曲がるし、針は折れるし、いびつになるし、個体差は出るし…。「なんでこんな辛い思いしなきゃいけないのー」って、もう夜中に二人で泣きそうになりながらやってた。

まい: 手縫いで!それはすごい。想像するだけで泣ける…。

Megさん: もう本当に、泣いてた(笑)でもやっぱり役割分担ができていって、クラッチの革を探して、革を切る、それをミシンで縫う、までがリカの仕事で。

ワッペンを探す、ワッペンをはがす、クラッチに配置する、手で縫い付ける、までが私の仕事。

そうやって二人で、革もジッパーもワッペンも、全部すごくこだわって最初のサンプルを作ったの。手縫いと家庭用ミシンでは、市販のものみたいにまっすぐ整ったものには仕上がらないんだけど、でも本当に細かいところまで二人でこだわったから、そこには自信があって。

二人で試行錯誤して、なんとか作り上げた、世界に一つのクラッチだったの。

まい: うんうん。すごい、本当にこだわりが詰まってる。いよいよそれを売り始めたんですね。最初からインスタで?

Megさん: うん、二人ともその頃はインスタもよくわかってなかったんだけど、ちょうど広がり始めた頃で。サンプルを載せてみたら、結構反響があったんです。販売の告知も始めたら、素敵ですっていうコメントとかもつき始めて。

ちょうどその頃、まだ出来たてのBASE(ウェブ上でオンラインショップが開けるプラットフォーム)っていうのがあって。一から販売ページを作るとすごくお金がかかるけど、これなら無料だし、base自体もできたでで、自分たちと一緒に成長していくみたいな感じでいいね、やってみようかって、そんな感じで始めて。

そこから少しずつ、そのクラッチが売れるようになっていった感じです。

本当に手探りの中、友人と二人でSVをスタートしたMegさん。次回は、そんなSVの転機になった出来事について伺います。

 

Profile

Meg: 独自のセンスで、2013年に「Swell Vintage」をスタート。ショップで販売するものは全て、自らハワイやLAから買い付ける。インスタグラムの世界観も人気で、フォロワー数は2017年12月現在で1.9万人。

 

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#MeToo の広がりに思う

イケ麺の先輩に囲まれつつ

#MeToo の広がりを見ながら、この業界で、たちの悪すぎるセクハラに遭わなかったのは、それはもう単純に、運が良かっただけなのかもしれない、とも思う。

セクハラどころか、私が会社を辞める決意をして、お世話になりまくった先輩に話そうと、「ちょっと話したいことがあるのでお時間ください」と、メールしてから、築地市場の名店、磯野屋にて「会社辞めます。」って話した時、先輩が言ってくれたのは、「びっくりした…すごいショックだけど、でも、話があるって言うから、すごいセクハラとかパワハラとか受けてるのかとか心配した。そうじゃなくて本当に良かった。」と、いうことだ。男前すぎませんか。本当、そういう人に囲まれて仕事をしてこられたんです、私は。

さっきも飲み会の相談を前職の先輩たちとLINEでしていて、「先輩に思いっきり幹事丸投げしてカップラーメン今すすってますすみません」って言ったら、「幹事は先輩がやるものだよ。」と返信が来た。男前か。イケ麺か。イケ麺っていうワーディングもいとも簡単に先輩から盗んだけど。

自分の感覚を絶対に絶対に若い子たちに受け継がない

だけど、そんな私において、今回のはあちゅうさんの告発を見た時、一番最初に感じたのは、「ああ、ありそう・・・」と、いうことだった。これはもう正直言って、はっきり言って、完全におかしいわ自分、と思う。

別の業界の友達は、「ひど!」「こわ!」「ありえない!」という反応だったのに、私の最初の感想ときたらこれだ。それはもう完全に、感覚が麻痺しているということだと思う。

自分が直接そんな被害を受けたわけではないけれど、やっぱり話として、身近で感じていた部分はあるのだと思う。

新入社員の頃は、あまりのカルチャーショックで体育会系のノリにいちいち疲れていたけれど(多分それはまともな反応)それでもだんだん、10年以上その業界にいて、変に慣れていってしまった部分はあるのだと思う。

そして自分自身、ある程度許容してきてしまった部分も、やっぱり少なからず、あると思う。もう少し、戦ってよかったんじゃないかなと思う部分もある。

でも今の私にできることというのは、自分の感覚が麻痺しつつあったことをまずはちゃんと自覚することだ。そして、若い女の子たちに、「ああ、ありそう・・・」だなんて感じさせちゃうような風習を、絶対に絶対に残さないことだ。

被害に遭った人が、どうか自分を責めないように

はあちゅうさんの、この言葉がすごくリアルだなと思う。中にいると、麻痺してしまうことがある。でも、声を挙げようと決めたはあちゅうさんの勇気がすごい。そして、声を挙げられないたくさんの被害者の人たちが、どうかどうか決して、自分を責めないように、と思う。

私の場合、自分が受けていた被害を我慢し、1人で克服しようとすることで、セクハラやパワハラ被害のニュースを見ても『あれくらいで告発していいんだ…私はもっと我慢したのに…私のほうがひどいことをされていたのに…』と、本来手をとってそういうものに立ち向かっていかなければならない被害者仲間を疎ましく思ってしまうほどに心が歪んでしまっていました」

「けれど、立ち向かわなければいけない先は、加害者であり、また、その先にあるそういうものを許容している社会です。私は自分の経験を話すことで、他の人の被害を受け入れ、みんなで、こういった理不尽と戦いたいと思っています」

もうそんな風習が金輪際なくなりますように

そういう文化がものすごく近くにあって、もちろん、電通の人ともたくさんたくさん一緒にお仕事をしてきて、多分、12年間の間にもらった名刺は、電通のものが一番多かったと思うのだけれど。

その中には、私が人として本当に好きな人もいっぱいいる。一緒に仕事をしていて楽しかった人、プライベートの話もいっぱいした人、真剣に相談に乗ってくれた人。心から、仕事を通じて何かを変えようとしている人。仕事が大好きな人。色んな人がいる。

だからこそ、もう、悪い風習は、金輪際なくなりますように、と思う。悪者の象徴のように、「電通」という名前が使われるなんて悲しいことが、なくなりますようにと思う。

もちろん、その会社だけじゃない、同じ業界の会社全て、共に仕事をするメディア全て、クライアントとなる企業全てで、そんなことがなくなりますようにと。

組織を信じられるようになっていきたい

あと、セクハラとかパワハラがない文化というのは絶対にあると、信じ…られるようになりたい。例えば今回の記事を載せたbuzz feedにはそんな文化がないと信じたい。そういう組織は、作れるんだと、信じたい。そういうところに身を置いていなかったから、どこかで今も、なんというか組織的なものを信じられない部分があるのだけれど、そうじゃないと、信じていけるようになりたい。

たくさんの、#MeToo の人たちがそう思えますように。

自分が悪いわけじゃないと、心から思えますように。

私もまだまだ、できることをやっていかなきゃ。

東京で通い続ける場所があるということ

なんと3ヶ月しかあいてないのに美容院へ行った。

髪を切りに美容院へ行った。ロングの時期が長かったのだけれど、1年前だったかもうちょっと前だったかにバッサリ切って以来、ちょっとでも伸びるとすぐに気になって美容院へいくようになった。

なんといっても、ロングの時は半年に1回しか美容院に行っていなかった。いつも気づけば半年が過ぎていた。

しかし。髪を切ってから私は生まれ変わった。なんと3か月に1回美容院へいくようになった。すごい。これはすごい。奇跡だ。

髪を切りながら、そうかこのお店に私はもう上京以来ずっと通っているのだなあ・・と、しみじみ思った。それってもしかしてちょっとすごいことなのでは。と。

この美容院に通い始めてからの自分の変化

上京以来、私に何が起こったかというと、大学に入学し、卒業し、就職し、結婚し、出産を2回し、会社を辞めた。それを、この美容院は全部知っているのだ。ちょっとすごい。まあ、年に2回しか行ってなかったけど。(それなのにそれを全部覚えてくれている美容師さんほんとすごい。)

東京に出てきてから、今年で何年目だろう、16年めになるのかな、そろそろ、京都より東京の生活が長くなりそうだ。その人生の約半分をかけて、通い続けている場所っていうのは、実はそんなに、多くない。

同じ東京でも住んでいる場所は学生の頃から数えて4回変わり、もちろん生活圏内も変わった。学生の時と、社会人になってからだと、飲む場所もお店も変わった。(まあやっていることはあんまり変わってない気もするけど。。。)

右も左もわからぬまま憧れのダイカンヤマへ行ってそのわかりづらすぎる道で迷った上京2日目の私と今の自分では、さすがに行くお洋服屋さんだって変わってきた。その頃から変わらず行っているブランドとかお店って、さすがにない気がする。それはちょっとさみしいけれど、まあでも年齢によって好きなブランドが変化していくのはある意味自然なことだ。

そう思うと、ほんとに、美容院くらいなのだ。ずっと通い続けている場所って。

初めてその美容院へ行った頃は、専門学校を出たばかりのアシスタントさんたちがみんな自分と同い歳くらいだった。そのアシスタントさんたちが、自分より歳下なのか!と、気づいたのは、就職してから結構経ってからだった。

遅い。高校球児たちが自分より歳下だと気付くのにも相当時間がかかった。遅い。まあこんな風に私は自分が歳を重ねていることをつい忘れるわけだけれど、通い続けていると、さすがにそのことも痛感する。だいたい周りの人が同い年とか歳下になっていく。

美容院というのは、話すのが苦手でもライフスタイルの変化の話をしがち

そもそも私はあんまり美容院やネイルサロンでお店の人と話すのがそんなに好きじゃなくて(めんどくさい)、基本的にはほっておいてほしい(なんといっても生きていく力に欠ける)。

そもそも美容院(もしくはGINZA SIXの蔦屋書店。それは今。)くらいでしか雑誌を読まないから、まあ美容院ではおしゃべりより雑誌を読みたい。読みかけの本があればそれも美容院に持ち込むし、それを読みたい。

そんな感じなので、美容師さんとたくさんおしゃべりしてる方ではないのだけれど、そんな自分でも、美容院というところは、ぽつりぽつりとライフスタイルの変化を話しがちな場所なのだ。

「シューカツするからちょっと髪色落ち着かせたい」と言えば「どんな業界受けてるの?」という話になり、職種の話もした。「実は結婚するから式に向けてちょっと伸ばしたい」といえば「そっかじゃあ顧客カードの名前書き換えるね!」と、新しい名字をおしらせした。

「実は妊娠中で出産したらしばらく来れないから、伸びても大丈夫な髪型にしてほしい」といえば「それは楽しみだね!女の子?男の子?」という話になった。

「上のお子さん何歳だっけ?もうそろそろ小学生だよね!」という話もついこの前にした。そして、「会社を辞めたから平日のこんな時間にも来られるようになったよ」という話をして、「おめでとう!そっか新しい仕事どう?」と、新しい仕事の話をした。

何と言っても、だいたい年2回、多くても4回ほどしか行かないわけだけれど、それでもコンスタントにずっと、この美容院は自分の変化とともにあったのだなあと、改めて思った。

目に見える資格やスキルだけじゃない、力を自覚すること

美容師さんというのはやっぱりものすごく会話のうまい人たちで、いつも何かしらの気づきをくれる。(いやまじであの人たちプロですよねすごい。終わった後全部メモしてるのかなあ、全部覚えててくれてほんとすごいと思う。)そしてその会話の内容は、やっぱり18歳から今までで大きくかわってきた。

前に、「美容師さんは手に職があっていいですよね、どこでも仕事していけるから。」という話をした時に(たぶん、私はその頃会社を辞めようかと漠然と考えていたのだと思う。)「いやでも美容師にとって一番の強みって、資格じゃないと思うんです。」と、その時たまたま担当してくれてた美容師さんが教えてくれた。

「こうやってお客さんとお話するコミュニケーションのスキルとか、あと次世代を育てていく力とかマネジメント力とか、そういう方がどこでも通用する力になるなと思っていて」と、その美容師さんは言っていて、なるほど!と、思った。

もちろん人それぞれに考えはあって、自分はハサミ一つでやっていくんだ!と、いう人もいるだろうしそれはそれでいいと思うのだけれど、自分の仕事からこう広がるスキルを自覚するってすごく大切だな、と思う。

目に見える(履歴書に書けるような)資格だけではなくて、そして美容師であれば「髪を切る」という分かりやすいスキルだけではなくて、長く続けてきた仕事にはきっと、誰から見てもわかるようなもの以上の、力がついているものだ。それをちゃんと自覚できるってすごく大切なこと。自分の力をいろんなことに応用していける、そういう柔軟性があるって良いな、と思う。

その時々で、美容師さんに教えられること

そしてこういう話にハッとしたり、何かに気づけるようになったのは、それはきっと私が16年くらいの間に、いろいろ変化してきたからなんだろうなあ。

18歳でダイカンヤマで迷いまくりのときにはいいお店をたくさん教えてもらって、結婚する時はステキなお花やさんを教えてもらって、出産してから子連れでいけるお店を教えてもらって、そして最近はやっぱり仕事の話が多くなる。その仕事ぶりから学ぶこともたくさんある。

家族と離れて東京で一人暮らしを始めて、そしてまた結婚して新しい家族を持つ今まで、たぶんこの16年の間に自分の人生は大きくかわったわけだけれど、その間ずっと変わらず通い続けてこられた同じお店があるっていいもんだなと、改めて思う。

次回は半年開かないように行こうと思います、たぶん、きっと。生まれ変わったし、うん。

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伝統を守ること、について

その組織らしさ、ってなんだろう

よく学校や会社で、「その組織らしさ」という話になることがある。「最近、この学校らしさが失われてきた・・」とか、「最近の新入社員はうちの会社らしくない・・・」とか。

もう結構前になるけれど、とある伝統ある高校にお子さんが通っているママが、先生から「最近生徒たちから、100何年と続くこの学校らしさが損なわれてきているように感じる。どうしてこの学校を選んだのだろうかと思うことも多い。」という話をされたんだーと、話していた。でもなんでかモヤモヤする!この学校は好きだけどなんかこれはモヤモヤする!なんでだ!と、そのママが言う。

私も話を聞きながら、確かにそれはモヤモヤする!なんでだろう!と、二人で話していたのだけれど。

例の黒髪事件に思う

まず、公立の学校であれば、当然「その学校らしさ」を背負った生徒ばかりが集まるわけではない。私立にしたって、学校を選ぶ理由は、生徒の「その学校らしさ」だけではないと思う。中にはそういう人もいるかもしれないけれど、そうじゃない人もいると思う。「選ぶ」理由は人それぞれで良いはず。

少し前に、女子高生が髪を無理やり黒に染めさせられた話が話題になっていた。あの時、多くの人が学校に批判的だったと思うけれど(そりゃそうだ)、一部で、「ただ、それならその学校を選ばなければよかった」という意見も見かけた。

でも何だか、それも違うんだよなあ、と、私は思う。その学校を100%気に入って入学する、ということはなかなかない。何だって、100%のものなんてない。ここは好きじゃないけれど、こことここはすごく気に入ったから選ぶ、ということもあるだろうし、受験のある学校であれば、第一希望ではなかったけれどここになった、ということだってある。

そして、いろんな事情があって属したコミュニティで、例えば90%は納得して入ったとしても、組織側から「あなたはここに入ったからルールを全て守ってください」と一方的に通告されるのはやっぱり健全ではないなあ、と思う。おかしいなと思うことがあれば、より小さい個人側からだって、声を挙げられる組織がやっぱりいいなと思う。

私が通っていた高校で、昔、校則を変えようという大運動が生徒たちから起こって、そこでいろんな衝突を乗り越えて、山ほどあった校則をたった3つだけにした、という話があって、それがすごく好きなのだけれど、(むしろそれを聞いてこの学校へ行きたい!と思ったわけだけれど。)そういう、簡単にではないけれど、時代や環境に合わせてルールを変えていくというのはすごく大切なことだと思う。

(それにしてもたった3つしかなかったその校則を私は一つも思い出せない。どういうことだ。全くもって自分が信じられない。)

「その学校らしさ」は生徒がつくるものではない

そしてもう一つ、「その学校らしさ」というのは、生徒ひとりひとりが作るものでは、多分ない。それは、生徒が背負うものではない。

学校らしさというのは、例えばその学校がある土地の文化や、歴史が作り出すものかもしれないし、独自の授業や行事が作り出すものかもしれない。そういう、ハード面からまずは作られるものなんじゃないかな、と思う。生徒たちは、あくまでその影響を受けて、何かを感じ取る立場であって、「学校らしさ」を、生徒たちに押し付けちゃいけないんじゃないかな、と。

そういえばこの前の仕事でまとめたこの記事でも、「広尾」という土地、そしてブランドを生かして再生した広尾学園のお話があったのだけれど、これはまさに、その学校の本当の強みを生かした好例だと思う。

そこに集まる生徒たちは、当然、時代によって色々と変わってくるものだと思う。もちろん、その土地の文化や、独自の授業や行事だって、時代の流れとともに変化してゆく。

生徒が先に変わるのか、ハードである文化や行事が先に変わるのか、それはわからないけれど、とにかく変化してゆくことは避けられない。変化は成長でもあるのだから。

「比叡山の1200年消えない火は、今の空気と油で燃えている」

みたいなことを考えていた時、愛読書『翼の王国』で、京都の特集を読んだ。そこに、大好きな「雲母唐長」のトトアキヒコさんのインタビューが載っていた。

唐長は、京都で400年続いてきた、日本で唯一現存する唐紙屋さん。「京都の伝統ある唐紙屋さん」というだけで、死ぬほど敷居が高そうなのに、今の感覚でも「ああ素敵だな」と自然に思えるものがたくさんある。

四条烏丸のココン烏丸に入っているKIRA KARACHOで数年前に購入した「双葉葵色づくし」というこの和紙のセット。ちょっとしたお礼状とかお便りに重宝しまくっている。全部で10色もあるので、子ども達もたまに自分で好きな色を選んで、お便りを書いたりしている。

そのトトさんが、翼の王国でのインタビューでおっしゃっていた。

「比叡山に1200年消えていない炎があるけれど、それは1200年前の炎じゃない。今の空気と油で燃えていて、それが文化だと思うんですよ。」

あーまさに。と、ストンと腑に落ちた。

例えば伝統ある学校にも、ずっと燃え続ける伝統のような炎はあって、それはずっと守られるべきものだろうと思う。炎を決して消さないこと。それはすごく大切なこと。

でもその炎を消さないためには、トトさんの言葉を借りると、今の空気と油が必要だ。その空気と油と、そしてずっと燃え続ける炎から、子どもたちはそれぞれ、一人ひとり、いろんなことを学びとっていく。それが伝統校であるということの素晴らしい強みなんじゃないかな、と思う。

そこには色んな生徒が集まって、そしてそれぞれが違うことを学びとっていく。でもそこに色んな違いがあるから、色んな価値観が集まるから、きっと何か新しいものが、ひとりでは作れないものが、生まれていく。

やっぱり学校ってそういう一人ひとりの違いや価値観を大切にする場所であってほしいし、本当の伝統っていうのは、そうして「今」の空気を入れながら守られていくものなのだと、改めて思う。

京都の伝統あるお店から、教育についても考えてしまったという今日のお話。

それにしてもやっぱり我が高校の3つの校則が思い出せない。なんだっけな。

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